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この質問は、中高生から来ることが多い質問です。 中高生というのは、解離性障害の発症の一つのピークだと思います。一方で、解離性障害の症状を見過ごされたり、診断が難しい時期でもあります。

解離性障害の症状として、最も有名なのは解離性健忘です。解離性健忘は、『いつの間にか知らない場所にいた』、『自分の知らない間にリストカットをしている』、『自分が知らない間に、何かが起こっている』などの訴えによって、疑われます。

ただし、最も大事な鑑別疾患があります。それは、「てんかん(癲癇)」です。側頭葉てんかんなどは、『いつの間にか知らない場所にいた』という訴えをされる場合があります。これは、てんかん性の記憶障害といわれ、前向性健忘という形をとります。前向性健忘とは、記憶できない状態です。解離性障害の方に記憶の検査を行うと記憶の障害はないことが示されますが、てんかんによる記憶障害がある場合は、記憶の検査で障害が見つかります。※ただし、記憶の検査で障害がないからといって、てんかん性の記憶障害は否定できません。検査には、MMSEや、RBMT(リバーミード行動記憶検査)を行います。てんかんの鑑別には、他にも脳波の検査や、発作がないかなどの症状の把握が必要になります。

いわゆる解離性障害らしい場合は、症状の発症に何らかのトラウマが関わっています。言い換えれば、解離性障害の発症には、トラウマが必ず必要になります。それは、両親の不仲、引っ越し、虐待、DVの目撃、デートDV、いじめなどです。これらは、PTSDのA基準(生死に関わるトラウマ)ではない場合が多いです。

解離性健忘は、症状の波があります。出るときもあれば、出ない時期もあるという感じです。ただ、フラッシュバック(過去の記憶が蘇ること)は続いていることが多いです。そして、抑うつ状態になりやすいです。「自分は誰にも大切にされていない」という感覚がある方も多いです。医学的に説明のつかない身体不調がよく出る方もいます。

 

解離性障害を取り巻くもう一つの問題は、イマジナリーフレンドです。イマジナリーフレンドがあるだけでは、解離性障害とは言えません。健康な人のイマジナリーフレンドは、自分にとって友好的な人物です。その友達によって、助けられたりします。イマジナリーフレンドは、会話もできますし、固有の人格があります。

解離性障害の症状の一つに解離性幻聴と呼ばれるものがあります。解離性障害の方も幻聴が聞こえます。これが、イマジナリーフレンドなのか、解離性幻聴なのか、統合失調症なのか判断することが難しいのです。簡単に言えば、統合失調症で対話性幻聴(幻聴と会話する)が出る場合は、独語(ひとりごと)も一緒に出ることが多いです。そして、幻聴を否定します。解離性幻聴の場合は、自分を非難する声だったり、ザワザワする感じだったりすることが多いですね。イマジナリーフレンドと違うのは、自分を非難する場合もあるということです。

解離性障害の方は、幻視も多いです。統合失調症の方の場合は、幻視はそんなに出ないです。そして、多くは妄想を伴います。解離性障害の方は、妄想は出ません。そして、幻視が気持ち悪いとはいいますが、統合失調症の方のように、とても距離が置けない感じというのは少ないです。

また、解離性障害の方は、かなり催眠状態にすっと入ります。むしろ、催眠状態に入ると、戻ってきづらい方もいます。そのため、幽体離脱、憑依、ドッペルゲンガーに会う、何もいないのに何かいるような感じがするなどの、ある種の霊的な体験を持っている場合があります。(これは、厳密には霊的な体験ではなく、解離性障害の症状です)

 

以上、解離性障害の中心の『記憶が抜ける』という事以外にも、てんかんの疑いはないのか、他の症状はどうなっているかをチェックしていくことが大切になります。

 

解離性同一性障害の方は、より複雑です。解離性同一性障害も、復数の人格が短時間に現れるような方もいます。これらの、人格は、特定の行動パターンを示すことが多く、5-10分くらいで、もとに戻ります。このような状態を解離性同一性障害に含めるかは、人によって変わってきます。この場合、記憶などの連続性はないのですが、人格と呼べるほど、その人格が確立されているわけではないです。

また、2-3時間くらい、交代人格が入れ替わっている場合、その人格は、かなり人格として確立されていると言えます。この場合が、解離性同一性障害の中核と言えるでしょう。

 

以上、みてきたように解離性障害の範囲はとても幅があります。そのため、自ずと治療は変わってきます。

 

参考:解離性障害の治療:どのような症状に対してどのような治療戦略を行うべきか?

 

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カテゴリー: 解離症(解離性障害)