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解離性障害もどのような対応をした方がよいのか、よく聞かれる病気です。

 

解離性障害は特別な病気ではない

解離性障害は、特別な病気ではありません。解離性障害は何らかの強いストレスによって、解離と呼ばれる現象が起きているもしくは起きやすくなっている状態です。

そして、解離性障害そのものを改善させる薬物は、まだありません。薬物療法としては、SSRIなどの抗うつ薬を用いることが多いです。

本などには「虐待」などの強いトラウマ体験によって起きると書かれているものもありますが、必ずしも虐待等だけでなく、「いじめ」「DVの目撃」「両親の不仲」などのストレスでも発症することはあります。これは、本人のもともとの特性との掛け合わせによって決まってきます。強い虐待をうけても、解離性障害を発症しない方もいますし、「厳しいしつけ」によっても、解離性障害を発症する方もいます。

 

解離とは、現実適応の方法である

本人が今までは現実に適応できない場合に、「解離」という現象が起ると考えられています。解離の中心は、主人格が耐えられなくなった記憶(体験)を、封じ込める、主人格から引き離すことです。

簡単にまとめると、切り離す要素が少なければ、解離性健忘、大きければ解離性同一性障害とになります。

一旦、「解離」という方法を使って、現実適応をしようとすると、「解離」という方法に頼りがちになってしまいます。この状態だと、なかなか「解離」がなくならないことになります。

 

そもそも、解離は治療すべき状態なのか?

実は、「解離がある」というだけでは、生活上困ることはあまりありません。正常な解離であれば、健常成人でも起ることが分かっています。

例えば、歩き慣れた道を歩いていて、ふっと「あ、もうここまで来たんだ」と思うことは、正常な解離ですね。このように、解離は別にあってもいい現象なのです。

しかし、解離があるために現実的な適応が悪くなっている場合があります。

例えば、解離中に自傷行為をしている、摂食異常(たべはき)がある、解離中に破滅的な行動をとっている、少しのストレスで解離してしまうなどの状態が、治療をしていく必要がある状態です。

解離をなくそうとする治療の方向ではなく、「解離をしなくても良い状態を作る」というのが治療の方向になります。

これは、解離性同一性障害でも同じです。解離性同一性障害の治療も人格を統合する、解離を亡くそうとする方へ持っていこうとすると失敗しやすいです。

 

解離は、対応の仕方によって悪化する

解離は、現実に適応できない場合に、適応する方法です。極端に言えば、「助けて」と素直に言えない人が、解離をすることで、周囲の注目を浴びようとするということもあります。

かつて、『解離性同一性障害は、それぞれの人格について詳しく尋ねすぎると、人格が個別化する』と言う人たちがいました。確かに、解離した人格ごとに、対応を変えていると人格は増えたり、解離の回数や時間が伸びるという現象がよく言われています。

実際は、「それぞれの人格の情報を詳しくきいても、人格は個別化していきません。」 解離の回数などを増やす対応とは、「解離の機能」に注目せずに、対応を人格ごとに変えていく場合なのです。

例えば、解離中に自傷行為が起こったとして、「解離だから仕方がない」とするのではなく、解離が起るまでの対応で、何か対応策が考えられないか?と考えることは重要です。

本人が怒られて、目の前で解離が起こったとしても、それで怒っている内容を取り下げてしまえば、「解離で対応する」ことが増えてしまいます。

 

解離性障害の人の世界観

解離性障害とは、不安を持ちやすい病気です。ただし、いわゆる不安障害と違い、漠然とした訴えが多く、何が不安の対象なのか分からない場合や、分かってもどうして不安なのかが話せないことがあります。不安障害では、不安に慣れていくという方向性が大切ですが、解離性障害では、このような対応は難しいと感じることが多いです。

解離性障害は、周囲からの言葉で少しでも否定的なことばがあると、その度合がとてもひどく感じてしまいます。「ちょっと怒ったつもり」という程度のニュアンスが分からず、自分の人格が否定されたかのような感覚に陥ります。それほど、脆いという状態にあります。

また、理由はよく分からないけれど疲れるとおっしゃる方も多いです。多くは、周囲に気を使ったり、自分の気持ちを表現すると、攻撃されるのではないか?非難されるのではないか?という不安が潜在的に持続していています。持続しすぎて、そういう風な状態にあると気がついていない方もいます。

 

落ち着いているときにルールを決める

解離中の対応は、置いておいて、解離しない時、感情的に落ち着いているときに、家のルールなど、なんでもルールを決めておきましょう。このルールに基いて怒っているという姿勢をとっておかなければ、「私のことを嫌っているから、怒っているんだ」という解釈になってしまいます。そして、日によって怒る・怒らないのルールが変更することも、本人に不信感を与えてしまいます。そして、解離等の行動で気を引けば、なんとか収まるのではないか?と期待をしてしまうのです。

 

 

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カテゴリー: 解離症(解離性障害)