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今回は、現在カウンセリングを利用して頂いているクライアントさんからの感想になります。解離症は、解離性健忘以外にも様々な症状があり、このクライアントさんも多彩な症状に悩まされていました。解離症は、愛着(アタッチメント)を始めとした早期養育環境におけるトラウマが無数にあります。現在、解離症の方にはホログラフィートークというトラウマ治療を勧めています。それは、ホログラフィートークではトラウマの治療と一緒にこの愛着の問題に取り組めるためです。

 

ホログラフィートークでは、初めに「心理的逆転」と呼ばれるトラウマについて扱います。このトラウマは、TFTを創始したロジャーキャラハン博士が発見したものです。心理的逆転が起こっている場合、ご本人が「良くなる資格なんて自分にはない」などのように治療を無効化する価値観を持っています。その為、ホログラフィートークでは、最初に「心理的逆転」を治療していきます。

 

感想

子供の頃から自分が自分でなくなる感覚や浮遊感を感じており、幽霊のようなものを見たり聞いたりするといった現象を体験してきました。職場での不適応や外出が怖いなどの様々な症状に苦しんで、ホログラフィートークを受けてみようと決めました。

 

セラピーを受けてみて最初に驚いたのは、自分の病気が10年以上も治らない理由の1つに「心理的逆転現象」が起きているのだと知ったことです。わたしの場合、幼い頃に家族の中で受けた心の傷や、イジメの記憶、中学生の頃に起きた事故で大切な友人を目の前で亡くした体験による自責の念が、心に強く引っかかっていたことが分かりました。幼い自分が感じていた孤独感や自分1人で解決しなければいけないと決意していた頑なな信念が、今のわたしに「ズルして幸せに生きてはいけない」「自分が悪いのだ」と無意識のうちに治ることを拒絶させていたのだ、とセラピーの中で知ったのです。3回のセッションで思い出されたエピソードは、どれも意識の上で考えていたものとは違った意外な場面でした。最初はセラピーを受けた後に疲れや肩凝りを感じ、思い出すことの大変さを痛感していましたが、回を重ねるにつれて安全な場所で過去に向き合うことができると信じていけたようです。


セラピー中には過去の怖かった記憶に向き合う場面もあり、大変な苦労もありましたが、影響を受けた恩師の存在が自分の中で生き続けていることに気づいて大きく喜び、無意識のうちに抑圧していた自分の感覚や内に眠る大切な言葉を解放することができたと感じました。ひとりぼっちで頑張り続けていた子供のわたしを、ずっと気づいてあげられなかったんだね、辛かったね、よく頑張ったねと抱きしめてあげることができたとき、これでようやくわたしは大人になることができると感じられました。そして、ずっと1人だと感じていたことが、大人になった自分の目線からは決して1人ではなかったのだという気づきも得ることができました。


また、3回目のセラピーを受けた後は具体的な生活面での変化もあり、それまで宙を浮くように生きているという感覚が消え、しっかりと現実を踏みしめて歩いている自分を感じられるようになりました。自分を確かに感じられることから、人へ意見を伝える時にもフワフワした怯えがなくなり、それまでよりハッキリと世界を感じることができています。1つの回復を迎えることができた今、ずっと心に描くことができなかった「過去から続く現在」の自分の姿や、「今・ここから続いていく未来」が自分の現実に確かにあるのだと信じることができているのだと思います。

 

 

解説

標準的な治療では、フラッシュバックのみに取り組みます。しかし、フラッシュバックという表面的な症状のみに取り組んでいてもなかなか良くならない事があります。それは、背景に早期養育に関するトラウマがある場合です。特に解離症を持っている方にはこのような早期養育に関するトラウマがあります。

 

ホログラフィートークでは、軽催眠の中で過去の記憶を思い出してもらいます。そして、過去のトラウマ場面へ戻りそのトラウマ場面を治療していきます。そのトラウマ場面は、クライアントさんが訴えるフラッシュバックで再現されるような場面ではなく、早期養育に関するトラウマであることがほとんどです。なぜなら、心理的逆転に関するトラウマは、人生早期にあり、自分の人生にとても大きな負の影響を残す価値観を作ってしまっているからです。

 

ホログラフィートークでは、トラウマを経験した自分自身に共感していくように働きかけます。自分自身が自分の苦しんだことに共感できないために、トラウマがトラウマとして残り続けるからです。

 

この感想にあるように、トラウマは過去と現在を分断してしまいます。中には、「異世界から突然今にワープしてきた」「ある日、世界が変わってしまった」と表現する方がいらっしゃいます。この感覚というのは、言葉では表現できない感覚レベルで起こることが分かっています。トラウマから回復するというのは、過去と現在が繋がっていくことでもあります。心理的逆転という大きなトラウマの治療が終わると、このように世界の捉え方が自然に変わります。そのため、新しい情報がちゃんと入ってきて、自分の中に積み上げられるようになってきます。

 

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